2006-08-01から1ヶ月間の記事一覧

終わり

お互いのこころが結局どこまでも繋がっていないのなら、もう命を賭ける意味がないよ。本当に、何を求めているのか、それを理解するのに必死で、投げかけられた問を答えられないで、そのまま終わる。 強がっていた自分もこれで終わろう。もういい、君にはもう…

八月八日、台風八号

もう一度ちゃんと夜の匂いを嗅いだ。さっきまで血液に染まった街にいた僕はお腹が空いたから帰った。葱の臭いに飼い馴らした虫が鳴いたよ。今日の世界はこころに刺さるね、今日の夕暮れはお前を呼ぶね。裸足にアスファルト、踵に黒い影。月を待つ、そしてお…

叭叭鳥

八、八、叭叭鳥が飛んで僕に幸福を齎したらいいな。

煙と荊

お前が吐く煙だけを編み上げて、私に太陽の眼を逃れる外套をお呉れよ。お前のいとおしく武骨で、傷んだ指で荊の蔓を手繰って欲しい、私はそれでお前の為に絞首するためのロープを結おう。愛とは、死に近き者だよ。

君に夕暮れの色、全部あげるよ

抛り出してしまうんだ、今すぐに。満月に近付く大きな月と、煩い蝉のオラトリオ。もうすぐ大きな地震が来る予感がするの。耳鳴りの向こう側の世界を見に、この手を引き剥がして、行けよ!赤い波間に揺れる、絶叫と共に正しく死んでいく太陽が今日もあるね、…

「台風十三号、大型、鋭利な颶風を携え北北東へ進路を取り、前線を伴い大粒の雨が不確定なふたりの隙間に流し込まれるでしょう。」 豪雨、羣叢の馨りと、寂寥が抜ける風穴。俺はこんなにも泣きそうな瞼を従え、短い髪からどくどくと、こめかみの水轍を太らせ…

あなたに戯曲を

御苑トンネル前から見上げた空に亡霊のような都庁の二つの巓が浮かんでいて、それはまるで東京の貪欲で巨大な半透明の魔物が排気ガスと人の呼吸で造り上げたようだった。皮膚の下で引いていく潮。風上から煙雨の中こっちを見ているあなた。終わらない戯曲の…

アストロノーツ・ドリーミング

宇宙飛行士の夢を見たあの日、意識はまだ深宇宙に在りました。身体が浮かぶ!そして、落下する感覚が私を支配してます。ぐらぐらふわふわゆらゆらのサンクチュアリ、きっと、私は虫けらみたいなもの。虫けらだと言う事は悲しいのではなく、ただ宇宙の巨大さ…

真珠

蝉が一度死んで甦った。声高らかに八月の亡霊を慰める。太陽からの放射線に焼かれて、夏草の海を掻き分けて往く葬列が鮮やかな世界を沈鬱な呼吸に変えていく。 死んだんだよ、あの人が。向こう岸、逝ったよ。 真珠の首飾りには涙と言う意味がある。声を上げ…

月と弱星(よろぼし)

声もない夜はきっと心臓の音を聴くためにあるんだ。僕はそう瞑想を巡らせる。そしてその思念を疑わない。僕は僕と言う器を騙った弱星なのです。 月明かり、突端、悲しき玩具と影法師。もういいかい、まぁだだよ、もういいかい、まぁだだよ。見付からない心の…

君は海

君の水平線で彷徨う、僕の喫水線。

東京湾

世界は綺麗だなぁ、って思う夜。汚い東京湾が見たかったけど、幻想だけ抱いて辞めといた。僕の大好きな、東京の悲しく汚い悪血が集まる海が立ち昇る朝を目撃したい。夜の悪魔の大きな翼が朝陽に撃たれて朽ちていって、骨を残して闇が崩れる!残された骨は銀…

恋愛

欲しいけど与えない、矛盾に酔う。不調和な音がギリギリ鳴り響くよ、僕の心と君の心が噛み合う部分を探して、ぎりぎりぎりぎりぎりぎり、不愉快な音がする。電話の向こうで、矛盾ばかり言うお前を何度絡まるコードで絞め殺そうと思ったか!でも、それはただ…