2007-08-01から1ヶ月間の記事一覧

演技をしている

虹は結局粒子だから、許されない歓びを吸って繋ぎ留めて。でもね、存在ばかりの君を僕は想うことしか出来ずに、あの線を超えるのを諦めて。誰かの無事を祈れば誰かが死ぬ、その理を君と僕に当てはめたりして、君を祈れば、僕は。 名前の場所を教えてくれよ。…

Naberius!

その砂地に烏の足跡、望んで陥った風景、飲み干した波濤に今少し血が交じる。褥は歪んで、正しい眠りを得られない僕は神経衰弱。浅い眠りの沼地はやけに冷たく僕の足を掴んでいた。真ん中で浸る思い出、曼陀羅に過る想いで、枯れた身体に付いた足跡を爪弾い…

五時半のストール

お前を信じる。伸ばしても届かず、融けてしまったこの腕にはひ弱な橈骨が存在していた。失うことに不安を抱いては、真直ぐ歩くなんてなんだったか忘れそうだ。でもね、明日はお前無しでもちゃんと巡ってくるから、存在など大した話ではないんだな。僕はおる…

変態

経路はもう僕を拒んでいるんじゃないか、と思う空の下、感情論で押し切った結論にもう綻びが見える。君の何を奪えよう?金色の東雲に、君の瞼が光っている!死にそうだ、僕の頬がどんどん冷えていく、僕の炎は、世界の溜息に吹き消されそうなんだ。美しいま…

梨に唇

唇に溢れた梨の果は砂を噛むような痛さで逃避行、雨の中伝った視線がこんなにも意味のないものだとは露知れず、結局のところ太陽に生かされていた。苦い空気が好いなら、そうしろ。この部屋は少しの宇宙を孕んで、もうすぐ何も失くなるのだから。 一途に好い…

暴走のワルツ

漕ぎ出でて死ぬ夢の海原に僕たちが殺し尽くした蟲の尖った六角錐の脚が絡み付いて、おんぼろの舟は容易く沈む。揺れる月が指差した未来はまだ雨雲の下で、うそつきだった、明日世界が崩壊するとしたら、誰もそれを止めるなど考えなかったから。妄言主義か享…

十中八九

窒息しそうな空気、得られないものばかり。重なり合ったまま絶えていく、鉄塔は亡霊の遺伝子。切ない気分が尽きないのは誰かのせいにしてばかりだから。世界は扉を探している、向こうに何があるか知らないけれどそれはそれでいいんだ、人間の致死率を考えて…

愛しそびれて

やさしい人影、罪の跡、遥か久しい繋がれなかった言い訳たちが今ここで列を成す。ひかりで満たされた愛もない空白が正しい匂いを思い出してははっとする。分裂する身体が肋骨や蜥蜴や、臓器や道化師を五線譜の上に撒き散らしている、のを、僕は血に潤う唇を…

テトラヒドロカンナビノール

君を殺る準備は済んでいる。もう全て掌握している気分。泥沼の昨日から解脱、神の草を齧れば世界は酩酊。脳内でおびただしい物質が溢れている、全て、流れ出していく。 本当は全部知っている、あの子の自殺の理由とか、僕が東京に憧れるのか、とか。そろそろ…

停電願望

真夏日、咽喉が枯れ果ててしまったらもうお前に届かなくなるんだな。探し疲れて諦めた最後の一個を引き摺って、さよならならちゃんと言わないと、終わりばかり望んでいる十一月がまた今年も来てしまいそうで、何とはなしに過ごしてしまう夏を笑っている。 鏡…

厳冬の夏

歓びの底に淀んだ悲しみがないと不安だ。僕は薄い氷膜の上を行進する兵隊です。無表情で知らない振りをする道化のようなものさ。夏なのに冷たい光が射している、小さな期待は燃えてしまったかもしれないけれど、いいよ。君が指を差した方向へ行こう。君の恣…

グッドバイ

内臓が冷えていく、凍えた心臓が循らせる血管が青白い血漿を葉月の速度で噴出している。積み上げた本やレコードの影が誰かの横顔に似ている。酒精中毒で白くはだけた行き場のない獣達が果てしなく濡れている、山が鳴いている、嘘を容易く許せよ! 妄言が止ま…

死に愛

僕は死ぬ度に眠り、甦る度に目覚めて生活を繰り返す。毎夜毎夜死んでいる。だから僕は夜が好きなんだ。句読点の多い僕の言葉がいつまでも果たされない遺書のように真っ白い画面の中で横たわっている。 僕はそれを愛と呼んでいる、愛の反対の言葉は無関心なの…

月に夢路

溶けそうなぬるま湯の毒素の夜、流れ雲が上空の突風を具体的に示している。望から朔へ移ろう途中の月がはっきりと、歪んだ薬指から撥ねた髪の影までを地面に写し取り、僕がそこに存在する事を定義する。太陽の目の届かない影に夥しい死がある!今は夜、死の…

手と手と

崩れた呼吸が八月の亡霊を呼び寄せている。知らない誰かの声を聞き、はっとする。 消息不明でいたさっきまでの僕は孤独なシーツの上で死んでいて、なんて、悪い嘘で。次の秒針を待ち続けるその間の世界は三回、手と手を取って踊れ。 笑ったままの禁忌症、足…