2008-10-01から1ヶ月間の記事一覧

ひとみごくう

ひりひりと痛い肺の奥深くで寂寞の風が鳴り止まない。頓服薬を常用、地質学者の果てない夢。掌は熱を帯びていました、氷を溶かして上昇する喫水線を呼び止められずに。そのまま青く爆ぜた胸から曝けた肋骨を尖らせる。不透明な窓から覗くのは誰だ、そこにい…

月と溺死

影をそっと掠め盗って二十三時の花園通りでした約束、老いた兵器と十の爪で綻びかけた間違い探しの世を暴く。無感覚に震える指が擦った燐寸で焦げる葉の匂いに巻かれ、薄荷の苦みを頬張っては平らげる。このまま走れば間に合うだろうか、点滅する光はやがて…

方向性

僕の心に正しい方向を探してはならない、なぜなら一度囚われたならば逃げてはいけないと言われたからです。歯の足りない歯車は社会の中では回れない、仕合わせな環境を探したいのに無駄な火の粉を飛ばして削られながらこれからずっと生きていなくては。これ…

エチュード

長い戦いが今終わる!とうとうと雨を呼ばない、僕は雨乞い師になる夢を見た。繰り返す!日常に疲弊する精神が眠れない日々を続かせる。急かせ、もう一度だけ言うぞ、愛しているんだ、こんな愛無き世界に、僕はひとつにはなれない、二つに離れない。曖昧な正…

千代田区ストレンジャー

夜、とりわけ深夜のこの街を歩き回るのが好きだ。大通りを避け、薄曇りの細切れになった空をぼんやり見ては、ガス切れ間近の100円ライターと二、三度格闘してふらふらと歩き出す。「そういえば千代田区は路上喫煙禁止だったな。」へっと背徳を含んだ口角を引…

平行の殺意

空のナイフを持て余し、いつでも誰かをぶっ殺すような気持ちで歩いていく。風を切る肩にアスマサーンの上空を飛ぶカラスの幻影を見た。破裂しそうな形が右折路を遠ざける、平行移動が終わらないのは鏡の中の自分と擦れ違う錯覚ではない。煙草を辞められない…