2007-01-01から1年間の記事一覧

独りではない

もう雨は止んだのに雨音が頭の中で止まらなくなって、堪らず泣きそうな涙腺を制止する。乾いた頬とは裏腹に血管の中は果てしない血漿で潤っている。僕らはいつだって危うい線の上を歩いているから、一つ向こうの世界には辿り着けそうもなかった。運命ばかり…

YUGURE, or not.

ゆっくりと錆びて凝固する砂漠の心臓は化物みたいな鼓動を馳せ、恥ずべき水が傷口から滴っては、真っ黒な髪が張りついておぞましい。太陽は弛緩して今年一番の長い夜に飲まれた。欲望を吐き尽くしてしまいそう、愛される悦びを知らない陰と影が煙たい密室で…

近似値のメタファー

神鳴みたいに音を立てながら落ちた眼鏡を拾う術もなく、大きな穴が空いた身体を邪魔する嘘つきの走馬灯、恤んだ温もりもそこからどんどんこぼれていく。妄言主義のプロパガンダで舞い踊る密告者のワルツ!ステップを僕にも教えてよ。重なる太陽に砕けた空白…

ワンダーランド

血が足りない青醒めたアスファルトは人を殺す気温、褥に描いた宇宙は極彩色の渦を巻いて、肺の疼痛に目が覚める。水面の一滴で世界は終わり、いばらの頬で君を撫でる僕の陰鬱なゲーム、喉笛が唸る和名ケ谷の月が煙突に架かった首吊り縄で恭しく縊死してしま…

足音

諦めては繋がりたくて、名前のない状態を抜け出そうとしなかった僕のいい加減な気持ちを、もうすぐ払拭する。ごめんなさい、憧れていたスタンスを愛していると勘違いして何度も臥した妄想の概念を知らず知らずにぶつけては、気付いて欲しいようなそうではな…

白い眼

汚れきった狭い部屋を片付ける程の余裕もなくて、届かない思いが飛来する。意味はないのに名前のない関係は続いていく、ただ解っているのは、僕の中で成長していく感情はあなたの中にはきっと無いと言うこと。何度も言いそうになる、何度も伝えそびれる、愛…

無神論

愛してるって言ってやるなよ、帰って来られなくなるのは嫌なんだ。神様の言い訳を心待ちにしている八月の亡霊たちが鉄塔の上でエレキギターを弾きながらじっとりと湿った黒眼で見ている。尊厳死で揺れる季節の真ん中で煙突から上がる一筋のラインが似ていた…

電車

消滅すべき期待など本当はないのかもしれないな。目隠しばかりが堪えられず閉じた眼を間違える。同じ方向へ走っていく電車の真ん中で次の別れ道のことを思っている、瞼の接線が循血で少し温かく感じている。 僕らは欠乏した酸素を取り逃した唇をぱくぱくとし…

どうして言葉はうまく届かないんだろう?

あの掌に突き飛ばされて砕けた弱い身体を拾い集めて、遺っていた傷口を埋める君の一呼吸に涙した。失意、絶望、怒りは夙に風化して、今は最早無関心と言う言葉が似合う。愛の反対語は、と、その問答はもう止めにしよう。唯一にして絶対の答えは「もう何も関…

死刑

混乱を催して、浸食のスピードに押し黙ったまま動けない。空白の解答欄に圧し潰されそうで、知りたくない火を見るより明らかな答え。描き続けていた筆が止まった僕の不眠症に拍車がかかる、今日の夜明け程恐ろしいものはないな。本当の顔をしても嘘つきに見…

夜の神話(for Mr.A)

静寂の怒号が窓を叩いている、指で塞いでも耳鳴りが止まらない。太陽が焦がした空の端から夜に化けて、散らばった火花は小さ過ぎて僕を照らさない。空想の愛を抱く両腕のラインの空白ばかりが胸を躙れば、膿んだ糜爛を慰める居場所もない。 肩越しに見えたベ…

流星群

世界で一番小さな呼吸で想像よりも近付いていた冬に気付いて、見覚えのない景色が今年も来てしまうんだね。ようやく届かないと知ってしまって、だらしない唇が傍観者の歌をさよならに変えて歌って、僕は切ないと言う自慰に耽っているんだ。いつの間にか影を…

隅田川心中

突き放すことも憶えたな。君を殺る僕の痛い心臓だって止まってみせた。近づいて遠退いて、そんな他愛ない現象で容易く傷ついた君の柔肌は一つの残像で歪んで見せた。堕落なんてつまらない、革命など起こらない、夜はいつだって僕の足元にあり、光はいつだっ…

世界

丸い一呼吸の向こう側、その穴の先に何が見える?謀り続けていた策略が邪魔をしている。小さい耳鳴りの上で這う悲しい歌の始まりを僕はいまいちちゃんと思い出せなくて、灰色の大きな壁伝いに歩いていく。きりがないな、どこまで行くんだ?易々と飛び去る鳥…

when i must draw

見て、僕の扉を開ける。内臓が熱くなる、きっと、ちゃんと僕の身体の中に心が収まっているんだろう。僕の衝動が黒いインクになって紙の目に染みていく。生きたい、だから絵を描く、僕の無様な慟哭がそのままの形で出ないように必死。もう子供ではないから、…

雨天決行

頭痛がするくらいの妄想で大雨の中を掻き分けて迷走中、沈みそうに不安定な僕の手を取って、摂氏三十六度の円を構成した。天国に続く神様の方舟はいつだって僕を迎えに来ることもなく、頭上の不透明な雲の上でやうやうと泳いでいく。 だって知らないだろう?…

首吊りロープ

そうか、知らない町へ行くのか、もう少し僕に喋らせてよ。もうすぐ来る季節にどんな気分で臨もうか。競合する原風景の眺望、世界の真っ只中で見透かされそうな暴走、ささやかな歌や食事で君を愛するという事を具体化したい。意味などないんだ、ないことに意…

沈黙

いつまでも正しいと思わないように果てしなく戒めている最中、けたたましく湧く僕の足元に舞い上がる砂塵。言葉で生きる、感情で生きる、リズムで生きる。それが誰かを傷付け、殺すことを知っている。でもそれが誰なのかを僕は知らないんだ。無知でいる世界…

毒の海、夜

生き延びてもいいですか?容易い海に戻るようにそっと掻き消えたい。ああ、ああ、白くなった口笛に何れは冬を呼ぶ雨すら許せそうで、磔になった君のやわらかなケロイドが綺麗さ、二人、愛と呼んだ嘘の呼吸を合わせている。 求めすぎた罰が遠い星を隔て、猛毒…

伝言ゲーム

身体が酷いスピードで褪せていく。真意はいつまでも伝わらない。伝言ゲームですれ違う僕の表現とやらを、無能だと笑っているお前が僕を一撃で殺さない。愛していたアスファルトに擦り傷ばかりで散らかる僕が悶絶している。 何より一番恐ろしいことは、お前は…

プラットホーム

夜明けぬ朝朗けのプラットホームに無言の群れが潜んでいる。破っても来る沈黙、分刻みで重なる日常に疲弊し、薄れた期待に期待している。曇り空の罅割れに青白い空を覚えては、見なかったことにした。新しい光を受け入れる余地もなく、今はただ東京を貫く銀…

次は無い等、解っている。しかし

どうせまた爪先に金木犀を枯らす雨が降る。呼吸の度に脣の淵が冷える。巨きな河を越えるとそこは東京であった。ガラス戸を開け放って十月を迎え入れると、僕は夏掛けの薄さにはっとする。灰色の雲が流れているのか留まっているのかすら判別できないくらい平…

キネマ

僕は、泳いでいる。降りだした雨が廃墟の頬のように冷たく、夜警は悪意の中、潜めた罵声と愛憎の分裂をして鬼火みたいな燻りを見せていた。お前の影が僕に多くを望んでいる。目論んだ残像、訝しい共鳴、今呪ってやると微笑んだ僕の眼を、緝えろ。戯け合って…

鈍ましいほど平坦な霧が晴れない。痛ましいほどの安寧が空を飲む。僕の頬が微かに震えたら世界は一つの決断と、六十と六億の犠牲を払う。知らず知らずのうちに蜩すら死んで、何を描いていたんだとか、誰を愛していたんだとか、よくわからなくなって、曖昧な…

ダスターシュート

ああ、疑うな、人間の致死率を。永遠と言う言葉に恒に付き纏う猜疑心は、そうさ、僕らいつか果てなくてはならないと触れ合う掌の温度が感付いているから。君の心臓の音を聞かせて、僕が眠れるまで、不安でもうどうにかなってしまいそう。戦うことも無くなっ…

霧雨絵画

身体が巨きな何かを望んでいる。果てしない暴走が尽きる時、僕の暴言が軈て一枚の絵画に成れたら。妄言主義者の命が笑っている。 地獄のような吐息が僕の頭上に吹き荒れている。この寂寞に何て名前を付けてあげようか。一つの行為、一つの占星術、今光を以て…

干渉

現在、収縮して戸惑ったまんま恤んだところで応答もなく、一体全体、何を望んでいるのか理解に苦しむ。オンボロ満月に翅虫が目眩ましの自由を手にした若者たちを笑っては、誘蛾燈にその身を散らしてしまう。 鎖骨に沿う貪欲な獸憑きが燃え尽きそうな寂しい眼…

天と肋骨

止まない頭痛と今問うた命乞いが血走る咽喉から全部、ほら、許していた。醒めた掌に絡まる下枝が夙に幽しき上枝を呑み込んでしまって、何だったか、浮かぶオリオンを絶妙の角度で遮っている。 死に近き遠吠えは僕の臓物から謀らんだ、弦の悲鳴だ。明滅を目指…

狂人日和

消えそうだよ、泣いてもいいかい?少し苦い煙草を吸い込む僕の内臓からは所々失血している。痛いんだ、君と、いたいんだ。届かないのは僕らは、「僕ら」ではなく「僕」と「君」という二つの範疇なのだから、君の血を僕に分ける事は出来ない。混ざり合ってし…

オールトの雲

何光年離れたら君は僕を忘れてしまうだろう?火星くらいで根を上げて、新しい恋を憶えるだろうか。東京のひかりのノイズに邪魔されて君が見えないよ。たいして離れ離れでもないくせに、少しずつその輪郭や声色があやふやになっていくのは、もう二度と会えな…