2007-12-01から1ヶ月間の記事一覧

独りではない

もう雨は止んだのに雨音が頭の中で止まらなくなって、堪らず泣きそうな涙腺を制止する。乾いた頬とは裏腹に血管の中は果てしない血漿で潤っている。僕らはいつだって危うい線の上を歩いているから、一つ向こうの世界には辿り着けそうもなかった。運命ばかり…

YUGURE, or not.

ゆっくりと錆びて凝固する砂漠の心臓は化物みたいな鼓動を馳せ、恥ずべき水が傷口から滴っては、真っ黒な髪が張りついておぞましい。太陽は弛緩して今年一番の長い夜に飲まれた。欲望を吐き尽くしてしまいそう、愛される悦びを知らない陰と影が煙たい密室で…

近似値のメタファー

神鳴みたいに音を立てながら落ちた眼鏡を拾う術もなく、大きな穴が空いた身体を邪魔する嘘つきの走馬灯、恤んだ温もりもそこからどんどんこぼれていく。妄言主義のプロパガンダで舞い踊る密告者のワルツ!ステップを僕にも教えてよ。重なる太陽に砕けた空白…

ワンダーランド

血が足りない青醒めたアスファルトは人を殺す気温、褥に描いた宇宙は極彩色の渦を巻いて、肺の疼痛に目が覚める。水面の一滴で世界は終わり、いばらの頬で君を撫でる僕の陰鬱なゲーム、喉笛が唸る和名ケ谷の月が煙突に架かった首吊り縄で恭しく縊死してしま…

足音

諦めては繋がりたくて、名前のない状態を抜け出そうとしなかった僕のいい加減な気持ちを、もうすぐ払拭する。ごめんなさい、憧れていたスタンスを愛していると勘違いして何度も臥した妄想の概念を知らず知らずにぶつけては、気付いて欲しいようなそうではな…

白い眼

汚れきった狭い部屋を片付ける程の余裕もなくて、届かない思いが飛来する。意味はないのに名前のない関係は続いていく、ただ解っているのは、僕の中で成長していく感情はあなたの中にはきっと無いと言うこと。何度も言いそうになる、何度も伝えそびれる、愛…

無神論

愛してるって言ってやるなよ、帰って来られなくなるのは嫌なんだ。神様の言い訳を心待ちにしている八月の亡霊たちが鉄塔の上でエレキギターを弾きながらじっとりと湿った黒眼で見ている。尊厳死で揺れる季節の真ん中で煙突から上がる一筋のラインが似ていた…

電車

消滅すべき期待など本当はないのかもしれないな。目隠しばかりが堪えられず閉じた眼を間違える。同じ方向へ走っていく電車の真ん中で次の別れ道のことを思っている、瞼の接線が循血で少し温かく感じている。 僕らは欠乏した酸素を取り逃した唇をぱくぱくとし…

どうして言葉はうまく届かないんだろう?

あの掌に突き飛ばされて砕けた弱い身体を拾い集めて、遺っていた傷口を埋める君の一呼吸に涙した。失意、絶望、怒りは夙に風化して、今は最早無関心と言う言葉が似合う。愛の反対語は、と、その問答はもう止めにしよう。唯一にして絶対の答えは「もう何も関…