2007-06-01から1ヶ月間の記事一覧

ウィルス・イムヌ

僕らは破滅しそうさ、いや、僕らは平気だね、苦しんで死ぬのはきっと僕らの子供たちだ。数mmの誤差で急所を掠めて降ってくる飛礫の雨は、躍起になって翔ばしたロケットの破片かな? みんなの両手は昨日の失敗と明日の重圧で溢れ返っていて、例えば明日自分が…

雨に健忘

雨乞いの血は僕の中で蹲り、六月に賛歌を惜しまない。神様が託した言葉は小さすぎて聞き逃して、次がないことなどわかっているのにどうやら僕らは期待しているんだ。頭上にある雲が大きな網の巣を張って鯨やエルダーフラワーを捕食している。重くなっていく…

TRUMPET

誰もいない交差点で待ってる、信号は沈黙して私に法律を示している。雨は止んで、路上は少しのひかりを乱反射。ヘッドフォンから轟音が鼓膜を通過する、脊髄が弱い電撃を感じた。桜はもう青々と眠らない街で光合成、薄い葉が揺れる、帯びる、謀らんで、落ち…

グッド・ラック・ブルー

晴天に死ぬ。僕のストールが濡れている。知らない海を目指して久里浜行きに身を埋め、大きな地震が来そうな予感が、脳の血管を走っていく。その曖昧で鮮明な耳鳴りを次の夜まで覚えていたい。 これは、記録だ。僕の生きている証拠さ。歓びは君と寄り添うため…

夏至

春が死んで夏が甦る度に季節を間違えずに凌霄花が咲いて、お前はきっと私のことを思い出すのかな。永遠なんてないことを一番理解しているのは、私とお前です。 私は今日に溺れる。眠れない眼窩にたっぷりと湛えた真っ黒な警笛、崩壊しきったリズム、首を落と…

枇杷

ああ、飛べるかな。この夜が明けるスピードを倣い、広げた両腕を擦り抜ける重い潮風がじんと染みる。六月なのに寒くて毛細血管が縮んでいく耳が聞きたいのは、理論や数式や証明じゃなくて、海風と君の声だ。 骨が歪んでいる、僕らは引力の上で赤く融けながら…

散り散り

冷たい体が軋んでは求め切れずに失った、殴たれた頬だけが赤く熱を帯びている。汚したのは誰だろう、汚されたのはいつだろう、呼び鈴だけ虚しく響く受話器を置いた夜半の中、弱さを見せたら全部終わってしまいそうで、必死に笑うんだや、朝日が照らす前に瞼…

不安

僕は弱い、夜の詩をちぎれるように描いては朝が来る度にぐしゃぐしゃに丸めてしまうよ。繋がれない、それは伸ばす勇気もないくせに、自分は特別だと思い込んでいるから。恐れている、のは君のせいじゃない、流れ続ける時間の速さに足を捕られ気味だから、倒…

箱庭

引き摺った傷が悲しみの向こうで癒えていく夢を見て、さりげなく俯いた顔が涙で濡れるのを濃霧が隠してしまっている。2m先の宇宙と君の距離が反比例で遠退く。重い体、皮膚の下には脂肪がパンパンに詰まっていて、呼吸すら危ういこの白い夜に私は浮かんでし…

ヨハン

夜明けを待つシュプレヒコール、十四番目の洋燈と齧ったジャイロ。湿度が高く水没した気分で、気温の低い汀を滑り往く超絶技巧練習曲の指先。イ短調には名前がないから、僕の大事な心の悲しみを象った裁断機、洋梨、角膜と同じ名前を与えてあげよう。死んだ…

CALL

夕暮れの円熟の苦い果実のように橙が、方々に伸びゆき燃えている。お眠り、陽が死ぬと東から月が甦るから、大丈夫ですわ、私は帰れます。途絶えたのはいつも君なのだ、待つのには慣れているのです、妄想より現実味を帯びていて、真実よりも嘘つきだ。ブルー…

ライフゲーム

過疎過密で死ぬ一つの点が、君だとしたら。 タチアオイが咲き終わっても梅雨が晴れなそうだ、少しの変化に気付いているのは僕と、それと、誰だろう。今日も暑いな、東西線は明日より向こうのことは知らない者で溢れている。(そしてそいつらは亡霊の臭いがす…

STAR

紅茶の中で五個の氷が身を削っていく。結露で指を汚していく。シロップは入れない、甘くないくらいが丁度いいんです。カメラとヘッドフォン、新しいCDと雑誌、ドローイング、十の指、両の眼。世界はこんなにも簡単に変えられることを知る。新宿一丁目北交差…

悪魔の数学

僕らは最初の七つの素数の二乗の和で踊る。蛍石の正八面体の頂で七匹の獣の血を纏いて舞い踊る。今日と言う日に、今日と言う日に、やさしい悪魔が僕のところへまたやって来てくれそうだ。

許してくれ

償いきれないフレーズ、愛し尽くしたメタファー、何度も何度も同じ風景や明日への不安や希薄なれど美しい希望が飛来して、こころに不時着する。そして私は、飽きずに、何度も何度も、聞き飽きたフレーズやメタファーを繰り返してしまうんです。それは私が一…

now-here

少女達は眠れない街でト書きだらけの説明書を読み耽って、世界の仕組みを間違って覚えてしまうから星を見つける事が出来なくなってしまったんだね。君は可哀想だと思う?明日はいい、きっと明後日も。一年くらいは、それでも。じゃあ五年後は?十年経ったら…

no-where

疲れた足に刺さっている思い出の棘を抜いて、滴りそうな血潮を受け入れる。温かな夕餉の待つ家路を急ぐお前のその影を飲み込んでしまったら僕は許されないんだろう。僕の心は向こう岸の夢よりもすぐそこにある他人の幸せを羨望してしまう。行く末が見え隠れ…

六月

頭上にはほぼ満月、僕は檸檬味の飴を口の中の温度で溶かしている。消えかけの電灯が呼吸の速さに似ている、遠くに走る車の呻き声が響く。今!僕はひとりぼっちだけど、何故だか寒くないんだ。 今日はビールをたらふく飲んで、少し世界が違って見えるんだ。昨…

進化

噤む事象全て宙に舞い揚げて重力を感じたい。浮ついたこころが今日も紡ぐ葉脈、うねるは長雨の許で欠損した意識の枝。伸びゆけ、僕の喉から、眼から細胞壁を増やしていけ。眼を覆えど僕らは今、途方もない暗闇の中!朝日はいずれ昇るん、だ、けど、その光が…