STAR

 紅茶の中で五個の氷が身を削っていく。結露で指を汚していく。シロップは入れない、甘くないくらいが丁度いいんです。カメラとヘッドフォン、新しいCDと雑誌、ドローイング、十の指、両の眼。世界はこんなにも簡単に変えられることを知る。新宿一丁目北交差点にも夜の帳が降りてくる。車も人も明日へ急ぐ、社会はそうやって速度を増していく。いつしか光速を追い抜いて無に至る可能性は、0じゃない。STRANGと罵って、つとに暮れた街をカフェから傍観しよる。
 解ったような振りでやり過ごしては、我が身を責めなくていいんだよ、僕らはもっともっと自由に生くべきだ。泣けども泣けども幸せの星座を掴めない、ならば、通り過ぐ生死に花束を。なけなしのインクで今日を汚す。