2007-07-01から1ヶ月間の記事一覧

呪い

日差しを憂いて雨乞いする無様な私はスネアドラムをひたすら叩く。雨の歌、雨の歌、ヘッドフォンの中で探して、卑屈に笑う私には時間がないんです。蕩けそうなバター、雲よ早く。今日が過ぎれば、明日が死ぬ、そんな妄想、下らないビジョン、愛している者す…

救われないと思った。どうしても痛い傷ばかりが化膿する。そうだな、与えられたならどこへ行こう?あの日の雨に僕を変えるいくつかの化学物質が混ざっていたとしたら!朽ちそうな面影は夕立の果てに消え去った。全部満ちて、それから、全部引いていく潮が、…

ずるい

僕は君に認知されたくて詩を紡ぐのだけれども、君とは不特定多数過ぎて結局何一つ伝わることはなかった。だってそうだろう?僕には十の指しか持ち合わせていないのだから。 君は思っている、僕があまりにも狡いと。

うつけ

群れを成す雨雲が高気圧に引き摺られてどこかへ流されていく午后、僕が窓を開け放ってジェッソを乾かして、オレンジ色の作業着に白が滲んでいくのを見ていた。かなしいことは病気だと言う人がいる、ことを悲しんでいる僕を病気だと言ってくれますか?意味の…

処刑

多過ぎた星を数え切れず、僕の眼は二つだよ。待っていた朝は僕の一瞬の転寝のうちに過ぎ去って、次の好機を望んでいる。夕暮れのギロチンが真実に揺らめく夜を準う、太陽は今日も処刑され、刎ねた首が西の地平線の遥か彼方に転がっていく。愛と喩えたまやか…

数学者

いつしか僕は悲しくて、書き殴った分解された数を掻き集めている。ひどく塩辛いこの涙と海の関連性を数式で表してくれ。インクが滲んで、僕の脳細胞が無駄にならないうちに。 僕は丁度円周率と同じくらいの言葉で正確に曖昧さを君に論述したいのさ。全てが数…

怪光線

抱えた膝!期待など疾うに捨て去っていたんだ、雲間の世界なんてそんなもんさ。漏れるステレオ、君のジオラマ、西の空から俯瞰で見下ろす神様の怪光線、にやり。科学の跫音があの光の波動を一つ残らず計算し尽くしたら、僕らは勝者?それとも。 聞こえるかい…

からだ

生き延びろ、その旅にいつも裏切りが見え隠れ。歌え、夜を迎えるためのタチアオイやノウゼンカズラの管楽器。冷凍保存していた僕の尊厳死は春になって溶けだして、今はもう腐って骨を露呈している。 酷い愛にはもう慣れた。それ以上など。 許したい、許され…

赤犬

噛み砕いた爪を惜しむような痛み、ちりちり、そんな小火がお前をちょっと阻んでいる。背中、は、少し汗ばんでいて、到来する夏が取り憑いていた。僕の指先は在りもしない鍵盤をなぞって違和感だけを食べ尽くしてしまった。夜は芳醇、ほら、名前がない僕らは…

手紙を

八月の亡霊が繕う晴天に程近い青いクロッキー帳に書きしたためた路線図、君への手紙と僕の遺書と。伝わるなら僕は何だって君に話そう!そんな些細なことを悔いるような内容で、僕はそれを燃やすための燕のマッチをいつでもポケットに忍ばせている。 薄い毒を…