救われないと思った。どうしても痛い傷ばかりが化膿する。そうだな、与えられたならどこへ行こう?あの日の雨に僕を変えるいくつかの化学物質が混ざっていたとしたら!朽ちそうな面影は夕立の果てに消え去った。全部満ちて、それから、全部引いていく潮が、酷く痛ましいケロイドの熱帯夜。暗雲は晴れて、僕はちょうど真っ直ぐ立てるから、狼の髪の毛を震わせている僕をどうか盾にして、あなたは行けよ、生けよ!
 ポケットの中のただただちっぽけな小石はまるで僕で、弄んだ指に気付かないくらいの傷をつけている。美しいとは相対性なもので、あなたより美しいものは沢山あるけれど、あなたより美しいというのはとてもとても困難だ。知っているかい?僕の生まれた50日後にあのチェルノブイリに光が溢れてしまったんだ。石棺に眠る人々の魂が僕の頭上で、ボロボロの盾の僕にニガヨモギの涙を流している。