2008-04-01から1ヶ月間の記事一覧

正しい生活

鉛のように重たい身体は指を少し動かすのも、痛いんだ。驟雨を待つ眠りの中で明日の配分を考えている、脳がちぐはぐに活動していて一つのところに着地できない。凡百の慾望に揺り起こされたら君を祀ってディナーにしよう。僕の空腹を満たす香辛料とストリチ…

崩壊

呪ってやるとか唱えたって僕にそんな力ある筈もなくて、空気ばかりを飲み込んでも、ただ少しだけ長く生きられるだけかもね。真実だったら見境なく飛び付いてしまうのは何だか悲しいし、嘘臭いな。飛び交う羽虫の霞んだ翅を睨んでいるけど、脳の中は明後日の…

模倣犯

世界で一番劇的な夜、春嵐の放物線で恋が終わる。誰にも届かないシトラスグリーンの鮮血に、小麦の焦げる匂い、聞きたくない雑音を消す爆音をなくしたまま、漂流しようにも浮かべず、ただ、だらだら弱音を吐き続けた。芥のような虫が靴底で圧死するのを、僕…

海と花筏

あの海を目指さなくなって、また一つ、季節が僕の手の届かぬところへ走り去っていく。求めるだけでは物足りず、さりげない裏切りだなんて、欲張り。チョコレートの芳ばしさ、高鳴る踵のリズム、そんな些細な要因で僕らはダメになっていく。 立てよ!もう一度…

80dB

光が濡れている、雨上がりは酷く憂鬱で、あの日とおんなじの左手が持て余した傘が融けてなくなればいいのに。理想論ばかりで僕らは進化も退化も忘れてしまったみたいだ!時は平成、混乱に乗じて自分殺しに勤しんで、賛美した罪を拭ってくれるのは誰? 古い寓…

ザ・ブランニュー・死刑

死のうが死ぬまいが地球は廻ってしまうとか何だったかな。昔みたいには遊べない、なんて、歌ってくれるな。揺籃のように容易く揺れてしまっては適わない、咳き込む身体の腱髄反射が限り無く正常な自らを造り上げている。物体の損失率、永劫主義の反復、何と…

計画

逃げるように帰った。ここには居られないと心臓が新しい拒否をした。立ち向かうべきは自分自身なのに、疲弊していく自らを鼓舞することも出来ずに、だらだらと何となく誰かを呼んでしまいそう。僕らは泣いたって無駄だと何度も笑っていた、じゃあどうして今…

デウス・エクス・マキナ

今帰れば間に合うだろうか、そうすれば君は河を越えずに済むのかな。木蓮の褪色にこの季節を追うのを諦めて、蜩の声を待ってしまう僕の潔さだけを褒めてほしい。いつだって世界は咀嚼しても噛み砕けずにいつまでも残り続ける肉の鉄臭い感じで、職安通り手前…

ポワソン・ダブリル殺人事件

一線を引き続ける僕らの鉛筆が迚も長いことを全部夕景のせいにして、要らない考えを消去しなければ。こんな小さな東京でどうして君には遭えないんだろう?僕は馬鹿に冷静で、狂うことすら覚束ず、右手の痙攣が終わらない。宇宙工学や物理科学が鋭く進化を遂…

新世界

心臓の音がよく判る、少し苦しいベッドの間、明日の朝を恐れているから窓枠の振れる音にも怯えてしまう。酒精に毒された怪物が引き摺る跫音を響かせて、来そうで来ない次の一秒を黙らせた。四月なのに悴んだ指に忘れた指輪の跡が存在したら、よかったのにな…