80dB

 光が濡れている、雨上がりは酷く憂鬱で、あの日とおんなじの左手が持て余した傘が融けてなくなればいいのに。理想論ばかりで僕らは進化も退化も忘れてしまったみたいだ!時は平成、混乱に乗じて自分殺しに勤しんで、賛美した罪を拭ってくれるのは誰?
 古い寓話の正しさにヤラれて、押し黙ったら良かったのかな。喋り過ぎた僕の戦略負け、結局一番大切な言葉は聞き逃してから気付くんだ。空席を確認するも座れない僕の曖昧なストライプを、雨上がりの湿度が、臭いが、許してくれはしないから。
 清澄白河行きが滑り込んで来ると同時に、僕は薄ら笑いで涙を滲ませるんです、ただただ。屈曲する騒音の前には力なく項垂れてしまうから、どうぞ翻弄してよ、君に全部あげるよ、あげるよ。