2009-01-01から1年間の記事一覧

はじめまして

ウェブ文芸誌・mistoa様に 日下田の文章が掲載されました。 http://mistoa.seesaa.net/何かありましたら mixiかWEB拍手にご連絡下さい 多分mixiの方が見る回数多いです メールはあんまり見てません

さよなら

あの日の冗談と同じような顔で笑ってよ、そんな言葉も聴かず君は灰になった!残酷、でも甘い月、豊饒の地図と涙で描かれた河。ただ安らかにと組み合わせた手と手は外殻だけを残し、すっかり全部溶けてしまったようだ。煙草の燃える音に気付かされ僕は眼を醒…

利口な獣とラグランジュの解

「此の世など焼け野原のやうだ。」と言った君なんかのために世界は終わらない。乗り過ごして何となく途方に暮れている人混みの中で僕は幾度となく現れた夢の惨殺死体に揺らいでいた。空腹を満たすために動物を屠ってきたのなら、空白を満たすために人を殺す…

OVERDOSED LOVE

衒うべき奇は君のために大切にしまっておいたから、僕の湾曲した月状骨を削って薬を拵えよう、世界の終わりのような朝が来たときは何錠でも差し上げよう。要らなくなった鋏、砕け損なった鏡、君の手には何が残って、僕の呼吸は何を失った?それは互いに判っ…

可惜夜

没落した眼窩に夢の跡、泣き濡れて目醒めた二十五時、身の丈に合わぬチェロを持ち出して僕は虎狩りを弾いた、夜がしんしんと深くなる深くなる。天王星がやけに輝く冬の淋しさを糧に発電所を作ろう、次の駅に誰も待っていなくとも僕は駆け抜けることを知らな…

エチュード

楽園を諦めたのは誰のせいでもなく自分の選択だろう?辿りそびれた帰路がもう待ってはくれないから、振り返るな。今は美しく眠る戦士を無碍に誹る君の眼が卑しくて、演じきれない悲劇の道化の振りすら巧く出来ないくせに笑うな。先人の拓いた荒野を貫くレー…

ロスト・イン・プラネタリウム

長い夜は明けなくて良いよ、と、うその星を潰した。あれから僕は間違ったナイフで君を殺め、正しくなったフォークでまずは内臓から、そして血から骨からすっかり君を味わった。でも君は笑っていた、分裂した僕の暴れる言葉・妄りな想いを笑っていた。結末の…

パラレルワールド・デッドエンド

僕は須く存在する日々の疲弊を紛らわすための煙草を止めて、それでなくても白い息に冬の到来が見えた。伺ったって帰ってこない問いかけ、僕の眼にはどうやら涙に濡れたってオリオンがはっきり映っている。君は何を見る、何を知る?償い方も忘れたくせに、コ…

予告と結末

ロケットの悲しい軌道を払拭することのできない六畳間、君は誰のためにその頬を濡らすの?愚かだった乞いが今日終わって、僕らは僕と君になった!曇天からは一向に雨の気配を感じられず、あんなに硬質の鉄塔が今にも蝋のようにとろけそうで、僕は地震の発生…

僕の胸は悲しみでは張り裂けない、下らない言い訳ばかり、裏切りばかりですっかり疲弊した視神経と水晶体。君は土砂降りの夜の満月だった!熟れて落ちた果実のようにあとは朽ちていくだけ、僕が死んだらここに新しい樹が生えるだろうか。点滅する身体がダメ…

神様の裏切り

間違えてきた選択を正当化するために進化の途中で小賢しい神様を創ったの?三角形の真ん中で踏み付けた砂埃、ラジオを止めて見た空に戦闘機のまぼろし、眩む空の青さがそろそろ夏も終わりだと告げているようだった、蝉時雨をいつの間にか忘れていた。何を信…

旅人算

真っ昼間に月浮かぶ初秋の影は肌寒く、それにしても太陽はいつもいつも残酷で、致命傷を抉るような旅に出たのはいつだったっけな。爪弾いた弦と世界の終わりは等しく震えて音を奏でた。さよならの凶器、露呈した骨、朝の光度と街の匂い、そのすべてを許して…

人殺しのブルース(R298 remix)

僕が立ち尽くした交差点、ハロゲンライトは折り重なって僕の鍵を照らしだすのに必死だ。二時間前、君はこの道を駆け抜けてそのまま海へ消えた。白波が砕ける様が何かを暗喩して、さよならは馬鹿みたいに殴り付ける雨のなかだった。繋がりあうには不確かすぎ…

世界の中心で愛を貪る

くたびれ果てた巨いなる魔物の背がこんなにも美しく見えるから、口ずさんでいた鼻歌が影をも失う。ねぇ、伸ばしていた手が君に触れたとき、世界は変わると思っていた僕は淘汰されるべき生物かなあ。食らいすぎた薄荷煙草のせいで荒み果てた咽喉の荒野に佇ん…

虹の絵画

発語するには名残惜しい言葉がここにはあった。夏は始まったばかりだというのに、もう次の季節の予感に苛まれる。句読点が多いのは誰かに悟られてはならないと無意識に打つ杭で、戸惑うままでは帰れやしないんだぜ。駈けてゆけ!駈けてゆけ!その辻を曲がれ…

ワンダー・ワーカー

僕らは26通りの選択肢の中で感ずる北極星を夜になるまで待った、無影灯の下で認知する・なんだ巨きな潮流の中にいたようだ。 必然と偶然が互いに身を寄せ合い起こすそれを奇跡と名付けるならどんなに馨しき事なのであろう。新しい世界を生きる者、果てなき天…

ΠΛΑΝΗΤΕΣ

旅を終えて老いた眼の虹彩がひとつの答えを物語るなら、その全てを僕が迷わず纏めて綴ろう。夏の馨、蝶の影、眩む路面と驟く雲、また来る雨の気配に僕は帽子を目深に被り直して、噛み潰したのは咄嗟に出てしまった悪態。手探りで捜し当てた君の目隠し・グッ…

感染

次の夏の予定を認めてほしい。揺るがないで立ち尽くすのは終わりの気配に怯えているから、硝子越しで見ていたのは野原が焼けていく風景。繋いでって伸べた線が有り余る乞い、生き易い方法と摩り替えた惑星間の問い、まだ来ない筈の未来に期待は野暮だろう?…

手と時、体と眼

手 知らない手 知らない手が触れる 知らない手が私に触れる 知らない手が私の前髪に触れる 知らない手の温度が私の前髪に触れる 知らない振りの手の温度が私の前髪に触れる 知らない振りの凍えた手の温度が私の前髪に触れる 知らない振りを続けていた凍えた…

パラレル

どこに焦点をあわせればいい、客観視する映像に目を凝らせば僕と言う虚飾を剥がすことに必死になるだけで、よくない。ひたすらに合図を待っていたら、そのことに必死になりすぎて合図を見逃してしまいやしないか。泣いていないでなんて何で言うの?愚か者、…

ファイティング・イズ・ノット・ブラインド

夜が深くなるたびに世界は羽音を立てて高く飛ぶ、僕は罪の深さだけ深く眠ろう。進むべき道は君の篝火でいつだって照らしていてよ、暴風雨に倒れそうになっても強く焼きつくその光を忘れないから。涙も掻き消すほどの叫びで雲を破るなどは叶わなくとも、呼び…

ラ・カムパネッラ

覚束ない指で朝を手繰り寄せ、次を待つ眼に燐寸の灯。べたつく海風がおうおうと泣いて、こころはいつだって掻き乱される。徒波、揺らいだ。羽田から見た東京湾はコンクリートに沿う青さと寂寞の念。尤もらしい言葉で僕をなじるな、やるせない胸の内で落ちる…

!!!

冷凍庫の中で凍り付いたまま夏を乞うた感嘆符、まほろばに惑い見誤らないように伸ばした手は僕が取るから。天国には君を脅かす雨も風もないのなら、今守るために振りかざした拳はどこへいくの?今生きる惑星のうえで来てしまう朝に向けて踊ろう、君の拙いス…

メルトダウン

(不埒な。)君の短い言葉が妙に胸に刺さる日は地面の下に潜って、多機能化した物体を不能にしたい。こんな重い荷ならどこかに捨ててしまえばいいのに、僕にとっては大切な思い出とやらがつまっていた。何のために神様がいるのか順を追って説明してほしい、進…

コールドスリープ

つばめ低く飛んだ午後は何も持たずにやがて来る世界を待ち侘びて、宇宙の隅で眠らせてほしいよ。青い獣達の予言に震え、正しく思うばかりの感傷が胸を引っ掻く。思い出に僕らは気が触れた、要らない空気に笑うのも飽きた。ただ湯気がそう土になって、ここは…

シンキング・アバウト

逃げて逃げて逃げまくって全部置いていくつもりだったのになにしているんだろう。振り切れないなら助走などいらない。二月はやはり心に悪いが、三月を羨むのはもうやめた。鳴って欲しくない携帯が震えるたびに壊したそれと、欲情するたびに汚した手。誰にも…

ぽつねん主義

期待はするな、小さな火傷が少し痛いな。会えないような気がしているのは何となくわかっていたのに、古びた喫茶店で呷る珈琲。シロップを探す僕は句読点で三分割、今日のような晴天が長く続かないように祈っている。止まない往来を責めることはしたくなかっ…

銀河鉄道の夜

心臓には柘榴石みたいな炎が灯り、徐らこの身を焦がしてもいいんだよ。正に終いえたその時に君が笑ってくれればそれでいい。古びた寓話の最後には僕の灰で君の名を刻め、真昼間の月の色をした爪を汚す僕の不義を最期に許してくれないか。 待ち続けた手紙はこ…

おかえりなさい

君のために振るった剣で壊れた世界を何個数える?流す血の数を数えて新しい真理に近付く。一瞬の追憶に拐かされ薄ら笑うお前は誰だ?夕暮れの毒に崩壊する三半規管、コンクリートの上に寝そべってやけに広い空を泳ぐ金魚は冬眠状態。背骨の曲線によく似たあ…