メルトダウン

 (不埒な。)君の短い言葉が妙に胸に刺さる日は地面の下に潜って、多機能化した物体を不能にしたい。こんな重い荷ならどこかに捨ててしまえばいいのに、僕にとっては大切な思い出とやらがつまっていた。何のために神様がいるのか順を追って説明してほしい、進化の過程に得た抽象への畏怖をあたらしい器具で知らしめてよ。届かない月にこれ以上手を伸ばさぬように。
 望んでなどいません。聞こえないふりをし続けるのは辛いのだ。美しいものを傷つけても生きていかなければ、ならないなんて。震える器具、希有な日、断絶した海峡、見やる落日に心が奪われそう。