コールドスリープ

 つばめ低く飛んだ午後は何も持たずにやがて来る世界を待ち侘びて、宇宙の隅で眠らせてほしいよ。青い獣達の予言に震え、正しく思うばかりの感傷が胸を引っ掻く。思い出に僕らは気が触れた、要らない空気に笑うのも飽きた。ただ湯気がそう土になって、ここは地図を忘れてしまった言葉より遥かな世界さ。ただ君が言う「不義理だ」って。黙れ、宇宙の真ん中で僕らは神様のふりをして、待ち続けた回答がここに来て欲しくなくなるなんて。冬のせいにしてコールドスリープ、春なんてもう来なければいいのに、僕も君も誰かのせいにして回る地球の影に入る。心中などは不恰好、孤高を邪魔する暖かい手は君だったの?
 回りつかれた時計はゆっくりと時を止めて、雪に塗れても融けやしないぜ。さようならの代わりに書いた手紙はきっと春までは持つまい、この大腿骨は誰にあげよう、この心臓は一番星に。やがて来る三番目の月を担って、朝を見返る頬骨。求めても誰が声を返そうぞ?「帰さぬぞ」そういう気になって。