2007-09-01から1ヶ月間の記事一覧

干渉

現在、収縮して戸惑ったまんま恤んだところで応答もなく、一体全体、何を望んでいるのか理解に苦しむ。オンボロ満月に翅虫が目眩ましの自由を手にした若者たちを笑っては、誘蛾燈にその身を散らしてしまう。 鎖骨に沿う貪欲な獸憑きが燃え尽きそうな寂しい眼…

天と肋骨

止まない頭痛と今問うた命乞いが血走る咽喉から全部、ほら、許していた。醒めた掌に絡まる下枝が夙に幽しき上枝を呑み込んでしまって、何だったか、浮かぶオリオンを絶妙の角度で遮っている。 死に近き遠吠えは僕の臓物から謀らんだ、弦の悲鳴だ。明滅を目指…

狂人日和

消えそうだよ、泣いてもいいかい?少し苦い煙草を吸い込む僕の内臓からは所々失血している。痛いんだ、君と、いたいんだ。届かないのは僕らは、「僕ら」ではなく「僕」と「君」という二つの範疇なのだから、君の血を僕に分ける事は出来ない。混ざり合ってし…

オールトの雲

何光年離れたら君は僕を忘れてしまうだろう?火星くらいで根を上げて、新しい恋を憶えるだろうか。東京のひかりのノイズに邪魔されて君が見えないよ。たいして離れ離れでもないくせに、少しずつその輪郭や声色があやふやになっていくのは、もう二度と会えな…

海と殺人

二十九日の月の入りは針より細い影を爆ぜ、じっとりと赤く、まるでひとつの粘膜のように侘んでいた。地球照が薄仄かに冷めていく、そのひとつに漸く君を識る。僕らは随分と愚かな傷を舐めあっていたようだね。いとも簡単に美しく見えてしまった鏡のような水…

嘔吐に花束

淫雑の復讐、眠らない街ももうすぐ転寝をするんだろう。痣が冷える、星を攫っても物足りないなら、じゃあ次は何を御所望で?風が幾分か八月の亡霊を見失い始めたら濁って、恥じらって、触れないで。誰かが僕らの空白を笑おうと、それでもまだ何かを捨てたい…

行く影の

丁度南中した半月を左手でくすねて、淡い淡い白い光に脅かされた中指の先に、絶えた生物たちの空っぽな黒目を感じる。数億の視線が求める期待をはぐらかして生きる僕の不眠症は、很しくて摂理に悖る。僕は明日も夜に飲まれない月の孕子でありたい。膿んだ爪…

誰だろう、光を消したのは、蔓冷えの初秋に君を知ったかぶりして。触れたいのは疾しいかな、少しでも温度をくれたら認知できるのに。黙っていた、僕の眼は星を失ったんだ、ちゃんと涙は流れている?僕には見えないんだよ。危うい緯糸を解いてしまわぬように…