狂人日和

 消えそうだよ、泣いてもいいかい?少し苦い煙草を吸い込む僕の内臓からは所々失血している。痛いんだ、君と、いたいんだ。届かないのは僕らは、「僕ら」ではなく「僕」と「君」という二つの範疇なのだから、君の血を僕に分ける事は出来ない。混ざり合ってしまいそうだよ、と思うのは僕の勝手で、でも、僕のオンボロな空想ではるかな土壌を汚す訳にはいかず、死ぬに死ねず、生きるに生きれず、爆ぜそうな感情が、今急速に冷却されていくのが、わかる。
 もういいかい、の後の君の返事がないんだ。目を開けようか、それともこのまま待っていようか、瞼に押し付けた指先に偏屈な脈動と、瞼の裏に見えた世界の終わりすら危うい美しい風景が見えた。どうしたって、どうなったって、僕は狂ってばかりもいられないんだな。わかったよ、もういいよ、かくれんぼが終わったら、明日の振りをした地獄の淵を蹴り上げて、首吊りロープを携えて、馬鹿げた歌を掻きながら、それでもいつでも笑っていろ!美しいんだ!美しいんだ!美しいから、いたくないんだ。