2010-01-01から1年間の記事一覧

夢遊病

続きを失った話と君を求めて、飛び出した街が青く染まっている、僕は小さく泣いてしまって、見えなければいい映像が頭上で旋回、南中に向かう閃光を待ち侘びる群衆を掻き分けていく。傷を洗う酷く冷えた水に知らず知らず色を託して、夏が死んで君は笑って消…

もう動かぬ玩具になった僕を置いて君は立て、進め。それでも憐れむ眼があるのなら、僕の手を取ってくれませんか?渇いた宇宙の一人旅は永遠という無様な名前に讃美され、魂が滅んだあとも肉体が惑星間を回遊!罪人どもの祈る手に今宵も毒降る半夏生。恥じら…

グッドバイ・モンスターズ

終夜眠りこけていた、朝が来てなんとなくわかった。あの日、君が投げ掛けたエニグマはそういうことだったんだね。勤めた旭に強請ったところで戻らない可惜夜は忘れます、僕は労働を貪ろう。栄養に溢れた食卓を残さず平らげたら、描かなかった明後日の絵を未…

言葉の羅列

甘いガムを噛み締めたらいつしか雨はあがっていて、篠崎ランプを越えた後、僕は君を目で追いました。風景になりそこなった若さの影が歪んでも次の花が咲くまでに次の駅には着いてしまう。融けだした身体を寄せて凝固するさよならを覚う、悪い人だ!わからな…

乞い患い

繋ぎそびれた手はあてのない旅に出る前にポケットにしまって、聞いていなかった話の続きを頭の中で作って笑う。どうしたの?なんて言われる前に糸口を爪で引っ掻いて剥いだ。患っている。百も承知です。やはり曇天の葛西には飼い馴らされた魚が無言の影を落…

夢を見た

金輪際、真理という不可思議に触れるのは止そう。化石のように白く凝り固まり、笑わなくなった月を嗤う。雨に怯えた水棲生物、また次の季節に憧れる桜の俤、岐路に立たされた生命線、いま誰を選ぼうか迷い続けたまま、アリバイの証人は僕のために決死の嘘を…

十七歳と九ヶ月

まるで愚図のようだと誰かが笑いながら罵るので、僕の懐に携えていた遺書はチョコレートで汚れてしまったよ。教室のカーテンが薄ら笑いで揺れている、陽光の中で僕は本当の意味での孤独を覚う。空しく撞かれた鐘の音を合図に散々になった少女等の暴れた髪に…

ハッピーバースデー

ヒーローはあの娘を救うためにたくさんの人を殺してハッピーエンディング、思想の中で死んでいった彼らは最期まで幸せでした?月蝕の夜に僕はやさしい悪魔と膚を寄せ合って、フロイトはこんな僕に何を話すだろう、ユングは僕を罵るだろうか。日を追う毎に美…

Re:

枯れ切ったその眼窩を濡らすのは今日の雨だろうか、飢えたこの肋骨を登るのは明日の半月だろうか。僕は魔物を飼い馴らし、君に喰らい付いて離れない。「もう一度…」と伸べた手の行方、目の交点には僕ではなくて深宇宙。夜鷹は山羊の歌うたい、僕は一抱えのヴ…

夜船と北窓

十文字のうそが取り返しのつかないことになって全てががらがらと崩れ去る夜に僕は真実を段ボールにしまっていた。遥かに大きな規模の月の海、砂糖菓子、天体観測、白妙の雪を望み迎撃する望遠鏡。新しく手に入れた力はやがて革命を起こすかもしれないんだ、…

無題

群青色の刺繍糸で東の空と海の遠さを縫い付けて、砕けた玻璃の星が何も言わず嘲謔、僕はただぼんやり眼を綴じる。幼さは悪びれもなく君を傷つけた、僕は幾年も経ってそれに気付いた。今更泣いたって遅いんだぜ、再び見開いた網膜に影を無くした僕の足、窓の…

ナイトパレード

真夜中ってだけでも戸惑うのに、ひとつも星が無いのは怖いな。星明かりも絶えたのに、この手の生命線が見えるのは不思議だ。眠らない街が眠りに就く時、人類は正しい姿で残っているだろうか。新しい進化が次の戦いを僕らは笑って夜に踊っているけれど、本当…

レムニスケートの煙

一瞬は粉々に砕けて永遠になった。僕ははっと息を飲み、しばらく黙っていると一月の寒さがこころの歪んだ部分を抉り取って、うろんな客はいつの間にか帰るべき場所もないのにどこかへ行ってしまった。予言者の思い描いた最後の風景は本当に全部が絶望に包ま…