グッドバイ・モンスターズ

 終夜眠りこけていた、朝が来てなんとなくわかった。あの日、君が投げ掛けたエニグマはそういうことだったんだね。勤めた旭に強請ったところで戻らない可惜夜は忘れます、僕は労働を貪ろう。栄養に溢れた食卓を残さず平らげたら、描かなかった明後日の絵を未完のままにはさせまいと、カルデラのように質量を増した絵筆を取る、取るんだ!
 不義な光を落とすためのランプなら一息に消し去って夜行性の彼らの眼に海を与えよう。恥じた体に這う疑惑、閉じた瞼に浮かぶ映像、深夜三時を報せるポルターガイスト東京湾上空で揺れるドッペルゲンガー。心の寝室で繋ぎ続けていた手を離して、僕も君もきっと明日はここにいないんだ。さようなら、僕らの悪い獣たち、その温もりなら忘れまい。