言葉の羅列

 甘いガムを噛み締めたらいつしか雨はあがっていて、篠崎ランプを越えた後、僕は君を目で追いました。風景になりそこなった若さの影が歪んでも次の花が咲くまでに次の駅には着いてしまう。融けだした身体を寄せて凝固するさよならを覚う、悪い人だ!わからないまま最後の喇叭を聞きました。やがて壊れていく塔を僕はぼんやりと眺めて、通過する車窓の向こうで笑っていておくれ、いずれ手に入れる悲しみ、応えない陽溜まり、ゴミくずと一緒に顔を出した睡眠薬、君との最後の写真なら僕が破いてしまったよ。
 夕暮れになった街角を僕はゆっくり擦り抜けて、千住大橋を過ぎた頃、僕は君を忘れました。謀っては押せないボタンで不発弾ばかり殖えていた、患った恋もそのままに踏みつけた花が乾いていく。この胸に集うのは濡れる漏斗と黙る鳩、期待した分裏切られて心臓が強く育ちます。いつか完成する世界に僕はぽつねんとあります、震えだしたラジオの向こうで蔑んでいておくれ、常に手の中の算段、答えられないテスト用紙、冷たさで色を忘れそうな赤いままの覚醒剤、君との最初の手紙なら僕が破いてしまったよ。