2008-12-01から1ヶ月間の記事一覧

睡眠薬と覚醒剤

ゆっくりと飽和する裸眼の水晶体が永らえた藍に濡れたら今日は最後の道を往く。ほらもう眠りから醒めろ、悲しいかな、僕らにはいつだって現実が待っている。秋分点超えてそれでも鳴るオレンジの、さよならのひかりは見えていますか?空白の九日間の上で僕ら…

真昼の手

錆びた銅に燻るお前の顔をいつまでも愛していられるとは限らない、いつか来るさよならのために今日のお前を慈しむのはどこか物悲しい。飲み干した珈琲の苦さ、頬に添うシベリアの風、凍り付いた都市の真ん中で幾千回目の真昼を恐る。尊い眼で睨んだ運命線は…

朝と轢死

飛び込んでいいかい?圧死する涙目の中で汚れない月を羨む。待ち焦がれるのには飽きたのだ、もう惑う時間すら残されていないなら高く飛ぶ方法を考えろ。砕けた硝子の消えてしまいそうな傷跡が残り続けて少し痛い。夜が明けたら次の空のことを考える、舟を漕…

生命のフレグランス

生きるために生まれてきた。大丈夫、こんな途方もない悲しみの昼が終わる、僕らはさよならとは言わない。こころの中にはあたらしい夢、正しい月夜、誰かのためにあげた産声の中で手をとり輪になって、踊ろう。何億年前もの星の光が迷わず僕の目に飛び込む!…

臓器移植

偽物みたいな雲が浮かんでいる、市谷見附から東の空を臨む。外堀通り沿いのカフェで人物の往来に耐えながら、あたらしいひかりを探す僕の掌。薄笑いの西日に唆されて来る筈もない今日を繰り返す。 こころはいつの間にか凝固してしまって刃物のように尖ってい…