睡眠薬と覚醒剤

 ゆっくりと飽和する裸眼の水晶体が永らえた藍に濡れたら今日は最後の道を往く。ほらもう眠りから醒めろ、悲しいかな、僕らにはいつだって現実が待っている。秋分点超えてそれでも鳴るオレンジの、さよならのひかりは見えていますか?空白の九日間の上で僕らの血が交じる。
 この街ももう終わり、無い帰路を進まなくてはならないな。今漸く立つこころの氷柱は振るう暴言に折れてしまいそうだ、大丈夫だと言い聞かせ、身に染む十二月の風圧を堪えては悴むべき指に君が触れる。夜の都市を鑿つ電車の整列する車窓から僕の産まれた街が見えた。今日は深く眠れる気がする。