おかえりなさい

 君のために振るった剣で壊れた世界を何個数える?流す血の数を数えて新しい真理に近付く。一瞬の追憶に拐かされ薄ら笑うお前は誰だ?夕暮れの毒に崩壊する三半規管、コンクリートの上に寝そべってやけに広い空を泳ぐ金魚は冬眠状態。背骨の曲線によく似たあの稜線をいつだって欠いてはいけない。薄荷煙草は沈黙を守り、アドバルーンは飛んだ。僕の口にはウォッカを、悪魔にはやさしい笑みを!
 もう一人の自分が帰ってきたら迷うな、惑うな、ちゃんと言え。
「おかえりなさい」