夢を見た

 金輪際、真理という不可思議に触れるのは止そう。化石のように白く凝り固まり、笑わなくなった月を嗤う。雨に怯えた水棲生物、また次の季節に憧れる桜の俤、岐路に立たされた生命線、いま誰を選ぼうか迷い続けたまま、アリバイの証人は僕のために決死の嘘をついていた!彩り尽くした我が身を全て春のせいにして、鈍重な馨りにヤられた僕は二十四分の一の嗅盲です。
 期待はしてない、止めたのだから、真理という悲しい結果を待つのは。乱反射する雲間に淡水魚の影が膨らんで、眠ってしまったあの娘の理論武装、彼が死んだ港から聞こえた汽笛、三時間前に吐精しながら契った永遠という口約束に耳を痛め、神様が創ったであろう美しい君の腐乱した肉を一齧りしてぽつり、…不味い。