天と肋骨

 止まない頭痛と今問うた命乞いが血走る咽喉から全部、ほら、許していた。醒めた掌に絡まる下枝が夙に幽しき上枝を呑み込んでしまって、何だったか、浮かぶオリオンを絶妙の角度で遮っている。
 死に近き遠吠えは僕の臓物から謀らんだ、弦の悲鳴だ。明滅を目指して骨の梯子を、君よ、行くんだ!血にぬるついて手を滑らせても僕の毛細血管や末梢神経が拾い上げてあげよう。濃紺の天蓋が旗や地図のようにとろけたら、君は星々の戴きに僕の体液で鵐に汚れた右腕、それから左腕を掛け、重力を忘れたかのように淪む。
 召された情景が甘美な蜜毒を垂らして、君の指跡に染みては蹌踉めいて空。白く褪せていく夜さえも愛しくて。