エチュード

 楽園を諦めたのは誰のせいでもなく自分の選択だろう?辿りそびれた帰路がもう待ってはくれないから、振り返るな。今は美しく眠る戦士を無碍に誹る君の眼が卑しくて、演じきれない悲劇の道化の振りすら巧く出来ないくせに笑うな。先人の拓いた荒野を貫くレールから脱線した身体はきっとその場で朽ちてゆく。雨に打たれ錆びる手を雲のせいにして、僕は間違っていないという。君が死のうと死ぬまいと夜は自ずと明けるのだ、君が撒いた種を僕が手を汚して刈る価値はあるんですか?
 導きの灯を馬鹿にしたのは君だろう、誰かの助言を聞かなかったのはどうしてだい、ならば僕がそっと吹き消したあげよう。永遠の暗転は悲しいか?望んだのに?黙って走れ!君の拙い詩や絵葉書なんて不要だ、もう子供ではないのだから与えられた宿命を全うしろ、僕が破いてあげよう。