虹の絵画

 発語するには名残惜しい言葉がここにはあった。夏は始まったばかりだというのに、もう次の季節の予感に苛まれる。句読点が多いのは誰かに悟られてはならないと無意識に打つ杭で、戸惑うままでは帰れやしないんだぜ。駈けてゆけ!駈けてゆけ!その辻を曲がれば世界の終わりが見えるかい、抜かなくていい剣など抜くな、爆ぜそうな心臓をやさしくなぜれば君の息の根は止まる?
 天井で不可思議な発光体のダンス!雀も蝉も鳴かない朝が来る。疲れ果てた足を投げ出し、今すぐ転がり落ちてしまいたい欲求がずっとずっと満たされない。明日は来るのか?来なければいいのか?禅問答は止めにして突風の部屋で薄い毛布に包まろう。奔りだした彼とさよならの君の背中に丁度良い形容詞が見つからないんだ、ああ、眠い。