予告と結末

 ロケットの悲しい軌道を払拭することのできない六畳間、君は誰のためにその頬を濡らすの?愚かだった乞いが今日終わって、僕らは僕と君になった!曇天からは一向に雨の気配を感じられず、あんなに硬質の鉄塔が今にも蝋のようにとろけそうで、僕は地震の発生する音をベッドの上で聞いている。宇宙どころか東京、こんな二人きりの部屋でさえ独りでは広過ぎるのに、互いの内包する夜の広さに途方に暮れていた。結局、どんなに素晴らしいセックスをしようと君とひとつにはなれず、果ててしまった後の悔いが刺さったまま抜けない。あの時君を殺して、そのまま全部食べてしまえばよかったんだろうか、君の熱量を僕が空費するだけならよかったんだろうか。