僕の胸は悲しみでは張り裂けない、下らない言い訳ばかり、裏切りばかりですっかり疲弊した視神経と水晶体。君は土砂降りの夜の満月だった!熟れて落ちた果実のようにあとは朽ちていくだけ、僕が死んだらここに新しい樹が生えるだろうか。点滅する身体がダメだと知っていても雨を望んで、掻き消してよ、ねぇ、甘い水を汲んでくれないか、その雨露を恵んでくれやしないか。微弱な電波、鉄塔で八月の亡霊は投身自殺、僕の短いアンテナ、君の広大なジオラマ、疑いなく終わった夏の匂い。
 僕の最後の光を君がちゃんと受けとめてくれたらいいのに、欲しがれば欲しがる程、叶わなくなることがあった。その掌には昨日崩れた幾億光年先の銀河、与えられた寿命、永遠というふざけた名前。