神様の裏切り

 間違えてきた選択を正当化するために進化の途中で小賢しい神様を創ったの?三角形の真ん中で踏み付けた砂埃、ラジオを止めて見た空に戦闘機のまぼろし、眩む空の青さがそろそろ夏も終わりだと告げているようだった、蝉時雨をいつの間にか忘れていた。何を信じてもいいから噤むことを憶えろよ、何が真実でもいいからそのランプを消してよ、僕が内包する夜をかんかん照りの太陽で照らすことが本当に正解だと思っているなら君は今すぐ呼吸をやめればいい。立ち尽くすのだけがうまくなったな、頬は何度も悴む季節を覚えた。歩けるか、ここから、ちゃんとまっすぐ行こう。こころの中の廊下で狂人が暴れている、美しい君が棲むのは冷たい嵐の部屋、曲がりくねった木が枝を這わせたリビングで眠っているのは僕の中の僕だったんだろうか。今はただ遠い思い出になりつつある爆心地に思いを馳せ、電波に乗った窓から見えた高層ビルの暴走を何度も繰り返し、止められないということだ。神様、あんたがいたから、あの人は死んだの?句読点ばかりが増えて過剰な酸素でふらふらする足取りは、殺した蝶の豊かな飛行線と同じ。