崩壊

 呪ってやるとか唱えたって僕にそんな力ある筈もなくて、空気ばかりを飲み込んでも、ただ少しだけ長く生きられるだけかもね。真実だったら見境なく飛び付いてしまうのは何だか悲しいし、嘘臭いな。飛び交う羽虫の霞んだ翅を睨んでいるけど、脳の中は明後日のことを考えている。投げつけたら良いんだとか、壊してしまえば済むとか、共存なんて言うアレは忘れている。
 霧雨続かないで、僕がもう消えてしまいそうだから。繋がっている素振りが巧妙になって、あんなに強く提唱していた名前なんていらないのかな?つぶった眼、やさしい温度、何て言いたいのか、何を言いたいのか。ひとつしか愛せないから、ひとつしか憂えないから、どうか行き先を表示しないでくれ。ひどく曖昧な結論と対峙して何となく納得している僕は、問い掛けては止め、問い掛けては止めを、長いことつぶやいている。