正しい生活

 鉛のように重たい身体は指を少し動かすのも、痛いんだ。驟雨を待つ眠りの中で明日の配分を考えている、脳がちぐはぐに活動していて一つのところに着地できない。凡百の慾望に揺り起こされたら君を祀ってディナーにしよう。僕の空腹を満たす香辛料とストリチナヤ、指先を汚して骨に噛み付く、そんな姿は獣のダンス!
 僕らはこんな気持ちでいることを熱望していたっけ?何か足りないけれど、何が足りないのか明確なビジョンはない。狂ってしまいそうなのに一線を越えることもなく、誰かを真似た歌ばかり?諦めたよ、世界の中、宇宙の隅、水のない街、雨の多い季節、僕のあるべき姿など。
 正しい生活に奪われた遠い海と僕の絵筆を、疑うことも捨てることも出来ずに足元に散らばっている。不眠症で思考回路を断絶して、獣の模倣で少しでも救われた気分。大丈夫?なんてどうして聞くの、僕は大丈夫って言うしかないのに。