怪光線

 抱えた膝!期待など疾うに捨て去っていたんだ、雲間の世界なんてそんなもんさ。漏れるステレオ、君のジオラマ、西の空から俯瞰で見下ろす神様の怪光線、にやり。科学の跫音があの光の波動を一つ残らず計算し尽くしたら、僕らは勝者?それとも。
 聞こえるかい?再来年には海に沈む島が上げる警鐘が。小さく絞ったボリュームが徐々に心搏音に同調していく、その音達が。多分もう君の脳は新たなる進化の頂点を目指して大事なものまで捨てていく最中なんだろう、さぁ。
 不埒な土壌で月に憑かれたモノローグ。水溜まりに溺れる小石にさっきまでの鐘の音を重ねて、愛しているものだけを愛してばかりじゃいけないんだ、なんて切なくなる、のは、嘘泣きのような気がしている、夏。傘を持て余す左手は生命線沿いに汗ばんで、何だろうな、実態のない祈りに全部託してしまいそうさ。
 脆弱で猥雑で、どうしようもないのに、それでも明日を知りたいんだ。