からだ

 生き延びろ、その旅にいつも裏切りが見え隠れ。歌え、夜を迎えるためのタチアオイノウゼンカズラの管楽器。冷凍保存していた僕の尊厳死は春になって溶けだして、今はもう腐って骨を露呈している。 酷い愛にはもう慣れた。それ以上など。
 許したい、許されようとしてはならない、頭上で位を競う命の値段は、付加価値ばかりでどうしようもない。僕はカルシウムと蛋白質と脂肪と水分で出来ている、って話だ。
 アウシュビッツの夕暮れは今日の東京より美しいか?世界は悲しみを飲み込んで、それはそれは透明度を研いでいく。