うつけ

 群れを成す雨雲が高気圧に引き摺られてどこかへ流されていく午后、僕が窓を開け放ってジェッソを乾かして、オレンジ色の作業着に白が滲んでいくのを見ていた。かなしいことは病気だと言う人がいる、ことを悲しんでいる僕を病気だと言ってくれますか?意味のないループと意味のある螺旋を描いて世界は終わっていく。神様の向こう側、宇宙の外、水素原子の中心、あの世、眼に見えないものを畏れていた。僕の中には何もない、だから探してしまうんだ、血に混じる君の爪痕が描いた矢印の方向へ!少し口笛を吹いた、ら、雨が降るんだ。
 大粒の雨に閉ざされて、僕の街は何かから断絶されている。(この雨を僕が呼んだとしたら?)虚け共、世界には始まりと終わりがあって、始まりはもう終わってしまったんだ!そうなら、そうならばきっと、君と生き延びたいんだ。