進化

 噤む事象全て宙に舞い揚げて重力を感じたい。浮ついたこころが今日も紡ぐ葉脈、うねるは長雨の許で欠損した意識の枝。伸びゆけ、僕の喉から、眼から細胞壁を増やしていけ。眼を覆えど僕らは今、途方もない暗闇の中!朝日はいずれ昇るん、だ、けど、その光が、何を齎してくれよう。本当に欲しいものは、本当に欲しいものは、僕のこころの中の極寒の海洋に沈んでいるんだ。剥がした沈鬱な指は雨のせいで濡れているのか?
 光はいつも正しいのなら、僕は疾うに迷わず光合成をしていた。育むつもりもないのに、僕の果実は徐ら艶めいて、持て余してしまった糖度を集めてしまう。未だ九十九折りを繰り返しては行き場なく枝葉を這わす僕の猥雑な舌は病のような赤を燃やして君に届かんとてこのずぶ濡れの愛を全部あげたい。
 君は今、何を御所望かね?愁える熟果を召しませ、飲み干せ、僕を認知しておくれ。