金色

 次はきっともう無いから今すぐここで終わらせてもいい。でも僕は君に生かされた、から、ちゃんと明日も見届けたいんだ。美しい死に様で西に潰える陽に焼かれ、蘂を這わせたクレマチスが、萌える。夏の音が迫った儘、四方の街並みにも朱が染み付いて、陋劣なものも全て美しくした!夕立、と雨を乞うた僕の両の手すら結べずに崩れた姿さえ。
 冷たい血潮で生き返れるなら、セージの煙で風を呼び起こす。半欠けの月が今日も浮浪して、間違っちゃいないさ、とひた笑う悪魔。跫音を恐れて夜を待ち焦がれ、誓わずの夕が皮肉げに暮れる。喚き呼ぶ!朽ち噎ぶ!明日をまだ輝いていると信じてしまう金色の、僕。