あやとり

 夥しい細胞分裂を繰り返して複雑化した社会にはいつの間にか死角だらけで、剥落した行方不明者たちは空を忘れたんだ。君とはぐれて行き場のないあやとりがいつしか枷になっている。少し温いべとついた世界、君が踊るよ、見つからないまま夜に惑う。平和なだけで霞んだまま、凶弾に倒れた明日を想う。
 ああ、駆け出して、揺るぎない韻律は忘れた月を諳ずる。にやついた夏の黒い傘広げて、不自由な糸を切るならもういいさ、捕まえられない!なら、この心の漠然とした数え切れない数たちをどこかへ放ってあげられたら、どんなに幸せなのだろう?天国の影で星屑になって咲いている君は、もう僕の手に負えない。
 きらきら、で、くたばって、ずるずる、と、落ちる!