許してくれ

 償いきれないフレーズ、愛し尽くしたメタファー、何度も何度も同じ風景や明日への不安や希薄なれど美しい希望が飛来して、こころに不時着する。そして私は、飽きずに、何度も何度も、聞き飽きたフレーズやメタファーを繰り返してしまうんです。それは私が一瞬の命で燃え尽きた誘蛾灯の受け皿に落つ蛾であっても、変わりはないんです。巨大な書庫に眠る、悲しい詩人が悲しい心を慰める為に認めた読まれない詩集であっても、別に変わらないんだ。お前が死んでも、私は私なんだ。さびしい事を言うようだが、しょうがない、私とお前は、巨大な宇宙の隣り合った二つの数である以上、それ以上は踏み込めないのだから。私の血はお前に与えられない、お前の心は私に通じないんだ。
 だから許してくれ、明日、そして今日、死んだ昨日を、繰り返す私の、呟いた詩を!