CALL

 夕暮れの円熟の苦い果実のように橙が、方々に伸びゆき燃えている。お眠り、陽が死ぬと東から月が甦るから、大丈夫ですわ、私は帰れます。途絶えたのはいつも君なのだ、待つのには慣れているのです、妄想より現実味を帯びていて、真実よりも嘘つきだ。ブルー、グレー、シルバーに、月の表面に落ちたミサイルと、狂おしき叙情詩のクレーター、あの塔の門の前で吠える二頭の犬と濡れたザリガニ、呼び水は僕だよ。世界の災厄を?それとも幸福を?なんにせよ僕は僕の心に忠実に、僕の心が喚ぶ君を呼ぶ。
 愛しているわストレンジャー