独りではない

 もう雨は止んだのに雨音が頭の中で止まらなくなって、堪らず泣きそうな涙腺を制止する。乾いた頬とは裏腹に血管の中は果てしない血漿で潤っている。僕らはいつだって危うい線の上を歩いているから、一つ向こうの世界には辿り着けそうもなかった。運命ばかりを信じている僕の淡い怪物は、ひとりでは到底敵わない雨雲を光の矢のように射抜いて、退化した僕の視力では見えない逖い惑星にすら思いを馳せてしまうのだから。そうだな、僕の愚かしさすら世界の中心を向いていると言うなら、愛はただの音声になる。わかるかい?わかってくれるかい?
 夜が来ると世界は終わりさ、ヨベル。未完成な歓声と号泣する轟音の中で僕らは何度も乾杯をしよう!悲しい歌を歌わないで済むように、この終わりは始まりだと信じていたい。構いやしない、ふらつかずに走り抜けて、君に愛に生こう。カウントダウン、3・2・1