ワンダーランド

 血が足りない青醒めたアスファルトは人を殺す気温、褥に描いた宇宙は極彩色の渦を巻いて、肺の疼痛に目が覚める。水面の一滴で世界は終わり、いばらの頬で君を撫でる僕の陰鬱なゲーム、喉笛が唸る和名ケ谷の月が煙突に架かった首吊り縄で恭しく縊死してしまう。西に伸びた長い影に潜めくワンダーランドは、瞼をゆっくり開いてきらめく魔法は解けた。
 動き出した始発列車はレールを疑いもなく滑っていくんだ。螺子を巻くように捻れた空気が薄くなっていく、窒息という手段を以て朝靄に紛れたい僕らの生命は発条仕掛け。