白い眼

 汚れきった狭い部屋を片付ける程の余裕もなくて、届かない思いが飛来する。意味はないのに名前のない関係は続いていく、ただ解っているのは、僕の中で成長していく感情はあなたの中にはきっと無いと言うこと。何度も言いそうになる、何度も伝えそびれる、愛だ恋だとまやかしの永遠を気取る気はなく、ただ燃え尽きていく為の酸素でいたいと思う。白い眼で歌う水の中のような詩は退屈な僕の腕を動かす余力を奪っていく温度。涙の意味を知っているか、聖者よ、僕は何度も真珠を飲み込む仕種で海を走る。焦げた膚、熟れた盲点、迎撃を恐れて、擦り切れなかったマッチが折れて、風の前に散る。束の間の海に、僕の残像すら消してくれるチンダル現象。渇いた身体を引き摺りながら冬の到来を恨んだ。