沈黙

 いつまでも正しいと思わないように果てしなく戒めている最中、けたたましく湧く僕の足元に舞い上がる砂塵。言葉で生きる、感情で生きる、リズムで生きる。それが誰かを傷付け、殺すことを知っている。でもそれが誰なのかを僕は知らないんだ。無知でいる世界の真ん中で本音も嘘も面倒臭くて何となく誂えた鈍重な器具で殴り付けた夜、誰も知らないと言うこと。
 こころが留まり続けても身体が高速で移動する新宿線、掻っ攫らう心算で点である自分が線になる気分。無愛想な罰則、愛なき空言、喚き散らす言葉、噤め!叡智が造り上げた振動をお前の恣意で汚すな、沈黙は恐ろしいくらい美しいのだから。