流星群

 世界で一番小さな呼吸で想像よりも近付いていた冬に気付いて、見覚えのない景色が今年も来てしまうんだね。ようやく届かないと知ってしまって、だらしない唇が傍観者の歌をさよならに変えて歌って、僕は切ないと言う自慰に耽っているんだ。いつの間にか影をなくした並木通りの枯葉を砕くのを止めにして、明日は違う道を選んでいかなくてはな、かなしい言葉の真ん中で半袖の頃を思い出そうと、僕の脳裡に閃く極大期の夕星と、今、頭上の青星とシンクロしている。大丈夫と悴む手を振り払う軌道は流星群のそれに似ていて、十一月が暮れていく残像が大分滲んで酷く遅い。