世界

 丸い一呼吸の向こう側、その穴の先に何が見える?謀り続けていた策略が邪魔をしている。小さい耳鳴りの上で這う悲しい歌の始まりを僕はいまいちちゃんと思い出せなくて、灰色の大きな壁伝いに歩いていく。きりがないな、どこまで行くんだ?易々と飛び去る鳥の羣、隣の世界は何があるのか教えてくれ。いらないものばかりが足元を埋め尽くして、首筋に遺る痣が痛いや。
 途切れ途切れの鼻歌がまた雨を呼んでいる。足らない音符、狂ったリズム、誰かの所為にしても胸の痞えが下りないな、明日が来るから不安だ、傘がないから僕は濡れるしかないんだ。笑って見せた君の強さをただ憧れているばかりで、高速で塵になる僕を許して下さい。