平行の殺意

 空のナイフを持て余し、いつでも誰かをぶっ殺すような気持ちで歩いていく。風を切る肩にアスマサーンの上空を飛ぶカラスの幻影を見た。破裂しそうな形が右折路を遠ざける、平行移動が終わらないのは鏡の中の自分と擦れ違う錯覚ではない。煙草を辞められない身体が旅に出る理由を見つけたよ、狭い空の色を覚えているかい?悲鳴だらけでうるさい東京をそれでもまだ愛しているんだ。明確に真実を伝えられなくてごめんなさい、淘汰して下さい、向こう側を望んでばかりの常夜灯下で味方のいないハッピーエンドは続くのだ。こんな怒りに身を震わせ十月の仕打ちに耐えながら四番町から新宿通りを目指す、俺は新しい名前を探している。次の季節の匂いがする。