ひとみごくう

 ひりひりと痛い肺の奥深くで寂寞の風が鳴り止まない。頓服薬を常用、地質学者の果てない夢。掌は熱を帯びていました、氷を溶かして上昇する喫水線を呼び止められずに。そのまま青く爆ぜた胸から曝けた肋骨を尖らせる。不透明な窓から覗くのは誰だ、そこにいたって見えやしないのに、音律士、無影灯戒厳令のカタストロフィー。
 円形に焦げる鉛の歌を革命家たちが諳ずる。さようならと何度も決意したのに一段と寒くなる夜は会いたくなって、早くこんな月が終わるように祈った。君のためにこの身体は立ち上がり崩壊していくことを辞さない。