2008

 半分になって、そこには空白。思いあぐねた呼吸器に棘が生える、ほら、存在していてはいけない生命体が今目の前の鏡の中でさかさまになってないているよ。僕は2008年をこの先もずっと憎んで生きていくんだ。こんな無様な愛におぼれ、それでも私の上に立つ腐った魚や小麦粉のようなにおいで、今開く目を見ないでくれよ。さっさとこの肺など潰れてしまえばいいのに、それでもこの横隔膜は単調に収縮を繰り返す。神楽坂を下って私は電車に乗りました。車窓に映る風景などなくて、都市伝説の跋扈する有楽町線でかなぐり捨てたい欲望を走らせる。あの日、僕がふんわりと描いていた未来が畸形の出産を幾重にもループさせて、今という怪物になって私の届かぬところへと走り去っていくのだから、お願い、どうか、あのX線を浴びた今日の午後三時二十二分、そのまま心臓のラインをきれいに切り取って、新しい世界につれてってくれたらよかった。堕落して傷ばかり増やして、それでも私は生きて痛いとか何とかそのような語感の言葉を呟き倒す。もういいよ、ここから飛べ。私の羽をやるよ。半分になった体は思ったようにバランスが取れないんだから、うそ笑い、幻月、菠薐草、遊廓、まどろんだ先にみたあの広すぎた空。