五時半のストール

 お前を信じる。伸ばしても届かず、融けてしまったこの腕にはひ弱な橈骨が存在していた。失うことに不安を抱いては、真直ぐ歩くなんてなんだったか忘れそうだ。でもね、明日はお前無しでもちゃんと巡ってくるから、存在など大した話ではないんだな。僕はおる、お前もどこかにおるなら、それはそれでいいんだろう。
 五時半のストールで金色の目隠ししている東京にいつだって泣きそうになる、のは、憧れと冒涜の間でゆれているからなんだ。こんな日和にどんな顔をしていいのだろう?ほら笑いや。世界は僕らをきっと望んでいる、そんな、煙たい希望を口にしてもいいじゃないか。お前を信じる。僕はこのこころを肯定し続ける。