Naberius!

 その砂地に烏の足跡、望んで陥った風景、飲み干した波濤に今少し血が交じる。褥は歪んで、正しい眠りを得られない僕は神経衰弱。浅い眠りの沼地はやけに冷たく僕の足を掴んでいた。真ん中で浸る思い出、曼陀羅に過る想いで、枯れた身体に付いた足跡を爪弾いて今少し血を帯びる。
 愛という小さな魔法が墜落する君を救いたいと、僕に向く流線型を掴んだ、絡まりあえた中指たちは想うのだ!どうして君と離れ離れになってしまうんだろうと。弾いて、そして、再び別れを告げる悲しみと拙い爛れに耽る痛みが、重力をも無視できたらどんなに幸せだろう。多分、君は死ぬんだ、僕が殺した。赦さないでくれ!この沼地から抜け出せない僕を、どうか天国で笑ってくれればいい。
 親愛なるナベリウスの嘴を頂戴して、君の愛した僕を喰らい尽くしてあげよう。呟く、繰り返すレトリック、忘却、復活の日を待っている。